まるで 太古の空を飛んでいたものたちの
たった 一羽だけが 眠りから覚めて
仲間を呼ぶ声のような 公園のブランコの軋む音
春は もう遠からじと 言えど
2月の最終日
思いのほか 暖かな場所を見つけた
公園のベンチ
陽だまりの中に じっと動かない
すべり台 鉄棒や 錆びついた大きなバネが
足代わりの 仔馬やゾウ
君たちがまだ カラフルで 賑やかだった頃を
僕は 目を閉じて 思う
全てのものには かならず 始まりがあったんだよね
どれだけの時が過ぎ 沢山のものが移り
いま いつ 散ったとも知れない 枯葉が 風に舞う
子供を連れて来た おばあちゃんが
ゆっくりとブランコを漕ぎ また 太古の鳥が鳴く
その隣りで 元気に 揺れ始める子供
そして 僕は知る
全ての 鳥たちが 哀しげな声で 鳴くわけでは無いということ
あとひと月もせず 花の便りが届く
また たくさんの ちいさな鳥たちが
空へ 飛び立とうと鳴く 桜色の風を その羽に纏って
よい春が訪れるように
準備を 始めましょう。
あと もうひと息です。